DTM再開

自宅ではプログラミング用のLinuxとゲーム用のWindowsを一つの自作マシンに入れている。あまり大きな声では言えないが、DTM用にもう一つ別のOSも入れている。この3連休では3年ぶりくらいにDTMした。3年前となるとDTM用のOSも古くて実はブラウザとかも最新のやつが動かなかったりする。8年前からLなんとかというDAWを使っていますが、最近のソフトは全く馴染めないので8年前のソフトを使い続けています。こんな画面です。

作った曲 https://soundcloud.com/karitainu/revive

3年もブランクがあるとMIDIのファイル出力(ボーカロイドへの受け渡し)などが、私自身も忘れてたりソフト自体もセグフォで落ちたり、縛りプレーみたいなところがでてくる。逆に昔からよく使っていたSylenth1などのシンセは永遠に64bit対応しないと思っていたが、いつの間にかver3まで出ていて快適になっていたり隔世の感がありました。とりあえず3年ぶりにDTMした感想というか、同じようにDTM再開する人向けに雑感をまとめると

  • 昔のソフトは64bit環境ならそのまま使う。最近のソフトは学習コストが高いし重い
  • StudioOneに乗り換えようと思ったが、予想以上に知識が消えてる上に体が昔のDAWに依存しててDTMリハビリこなさないと無理そう
  • ゲームもプログラミングにも向いていない某OSはDTMに集中できて良い
  • とりあえず一曲完パケするとアレンジだけでなくミックスとかマスタリングの練習まで並行できるので学習効率が高い
  • 最近のPCは性能が高いのでリバーブとかディレイをセンドしない方がミックスが楽だった。団子になりにくい
  • 最近は音圧を稼ぐ風潮ないのでマスタリングはスピーカーとイヤホンとか繰り返し聞いて違和感減らすことに注力した。もっと数こなさないとまだ勘が戻らなさそう
  • 楽器の演奏スキルは果てしなくゼロになってるので編集すきる磨いていく方向で学習効率をあげる
  • アレンジは逆にドレミのレベルで忘れてるので奇想天外な感じで面白い
  • SoundCloudとかで海外のトラックメーカ(e.g., https://soundcloud.com/lidogotsongs)聞くとDTM真面目にやってたころは落ち込んでたが、ゼロからの再出発なので浦島太郎が未来の音楽みてるみたいでかなり楽しい

以上です。とりあえず今月は会社を休む予定なので、もう一曲くらい作りたい(消極的)

ハネケ監督のハッピーエンドを見た

ハネケ監督は前二作、白いリボンと愛アムールでカンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールを連続受賞している。私は大学生のときに近所のレンタルショップで全作品見て、未完の城を含めてハマりまくった。そんなハネケ監督が昨年のカンヌ国際映画祭に出品したが、なんの賞も授賞しなかった。これは逆に気になって仕方なかった。

映画を見終わったとき、いつもハネケ監督の映画を見たときのような胸に重く冷たい何かができる、ということはなかった。だけど、ふと電車で監督のインタビューにおいて、スマホが普及した現代で、スマホは現実の触れ合いを妨げていて、恋人たちも互いにスマホを触り、目を見て話し込んだりしないという。その通りだ。僕も数年前に付き合っていた女性とマクドにいってスマホをお互いに持っていなかったので、くだらない落書きをナプキンに書きあったりした。そういう時間が本質で何年も残るんだと思う。惑星ソラリスでもただ死に別れた夫婦が

それはそうと次はテレビドラマをとるという。かなり高齢だと思うのだが、尖りまくってて凄い。

応用数学の楽しみ

私の通った大学には基礎工学部と、工学部っていうやつがあって、基礎って限定されるのやだなぁと思って工学部に入った。 そんな自分が一番好きな学問ってなんだろうと思うと、応用数学なのではないかと思う。

応用数学の定義はぼんやりしているけれど、私の中ではこうだ。現実的な事象を扱うのだが、発見的、実験的な裏付けなしで、完全に数学的な背景だけで成立している分野。例えば、電磁気学や数理最適化、確率論などの分野だ。

応用数学の凄い所は、いまのところどれも歴史が浅いので、例えば最古の研究でもガウス辺りだろうし、論文も英語で読める。つまり本当に一世紀くらいで発展しているものだから、頑張れば自分も一から全てを追えるし、もっと頑張ればその波に乗れる。完全に数学的な背景だけで出来てるので、とことん腑に落ちるまでやれるのだ(工学にはよく歴史的な理由や、曖昧な実験による慣例が多い)。

ただし、辛いところもあって、扱うものが現実的な事象なので、数学的に嬉しい仮定を置いても現実的な結論になることは稀で、楽しいけど役に立たないという迷路を歩いてる気分からは逃れられない。いまの自分としては応用数学を道具に現実的な問題を解きつつ、道具が全く無い時に作ってみましたというスタンスが性に合っています

小説を読む

前回の日記に書いたように、私は学術論文や専門書に惹かれるに連れて、小説が読めなくなった。このごろ学術論文を書いているのだが、どうにも書けない。これはもしかすると対偶的(??)に、小説が読めるのではないかと思ったのだ。
 
結果的には読めた。読んだ本は阿部和重の「ミステリアスセッティング」である。BOOKOFFの108円コーナーで、昔阿部和重の本を全巻買うだけ買って読まずに売った記憶から、手にとって結局読まずに忘れていた。阿部和重氏の本は、文庫本に限る。というのも解説者が豪華なのだ。同書では、芥川賞作家の金原ひとみであった。金原氏は村上龍の文庫本の解説で見かけて以来、久々であって、氏曰く「これなくしては生きていけない」レベルの中毒性があるという。私もかつて全巻を買い漁った頃はそのような感性があった。

実のところ、今となってはそのレベルの没入感を持っていない。しかしながら、ふと久々に昔の彼女の名前をGoogleなどで3時間も検索するなど、氏の作品中人物によくでてくる「自己愛ネットストーカーキモヲタク」ぶりを再発した。今になって、数年ぶりの自らに内在する阿部和重ワールドとの接点を懐かしく思う。

インターネット技術文書ブックマーク

技術文書というものは良いものだ、私は大学に入ってからその魅力に取り憑かれ、文学少年をやめ、自宅は技術文書で溢れかえった。とくに数分かけてWikipediaを眺めるのも、何週間もかけて専門書や論文を読むのも好きだが、何よりも数ページの趣味で書かれたPDFやウェブページの技術文書はインターネットの宝だと思う。

そんな訳で、理工系の日本語に限るが、私がここ数年愛読している技術文書のリンク集をここにまとめたい。ブログ的なやつはキリがないので省く。たぶん思い出したら追記します



  • 数理系
  • 情報系
    • 和田英一: HHKBの作者で、SICPの翻訳の人。技術文書は伝説級に古く、PSファイルが文字化けして読めない...(PDF変換方法を探しています-> Adobe Distillerを使うと良いそうです) http://member.wide.ad.jp/~wada/index-j.html
    • 無線部開発班(スクロールするとPDFリンクを表示): 数は少ないがクオリティが高い、ScalaD言語の文書が良い http://pafelog.net
    • Art & Science Laboratory: 元楽器メーカに所属していた、大学の先生。かなりニッチな音響用のプログラミングやデジタル処理の話がある http://nagasm.org/ASL/index.html
  • 何でもあり系
    • EMANの物理学: なんとなく物理の人って知識欲が広すぎ(そして深すぎ)だろうと思う http://eman-physics.net/
    • ++C++; 筆者によると院試をきっかけに数学や物理の勉強をはじめたとあるが、私も当時まとめ資料を作ったりしたので同感 http://ufcpp.net

本格的にStudioOneに乗り換える

週末のロードバイクと、細々としたプログラミング以外の趣味として、3年くらい前は、DTMをやっていた。このDTMという趣味は無限に時間と金を食う代物で、学生だった私はろくに友達も作らず、DTMばかりやっていた。むしろDTMのために軽音楽部に入ったり、学生オーケストラに入ったりしたわけで、私の学生時代はDTMの思い出しかない...。ところで、ロードバイクなんかもどこの会社がいいかだの、プログラミングも何言語がいいかだの、初心者から玄人まで使う道具に対する拘りが強いものだ。DTMの分野では、DAWと呼ばれる、統合的な作曲→ミックスダウン→マスタリング(この段階分けは近年では曖昧だが)を行えるソフトウェアがそういう道具にあたるだろう。かくいう私もかれこれ10年くらいのDAW遍歴がある。

  • 中学生の頃 (〜2007年)

親に新聞に載っていたDELLの事務用PC(5万くらいだったか)を今後何も買ってくれなくて良いとねだって買ってもらい、当時無料(後に有料化した)DAWだったREAPERを使っていた。今だと無料ではMu.LABなんかが良いのではないだろうか。REAPERとSynth1(VSTプラグインシンセ)で、最低限の操作方法や、作曲の概念を学んだ。このときはまだミックスダウンやマスタリングの概念を知らなかった。

  • 高校生の頃 (〜2010年)

中田ヤスタカという当時DTMのカリスマみたいな人がいて(当時曲は聞いたことなかったが...)貯金を全部叩いて彼が使っていたCUBASE5を買う。CUBASEは現在でも世界的に人気の高いDAWで、あのハンス・ジマーヒャダインも使っている。これといって良い所も悪い所もないが、普遍的なDAWの概念を覚えるのに非常に役立った。当時としては唯一実用的なピッチ補正機能が標準搭載されていたので、画期的といえばそうだが、その他の操作性や内蔵音源・エフェクトはかなり地味だったと思う。当時はSample tank3やREASON4といった音源を併用していた。

  • 大学生の頃 (〜2016年)

このとき好きだったBTやimoutoidというアーティストがMacとLogicを使っていると知って、家庭教師のバイトをしてMacBook Pro(2009, 13inch)を買うなどした。このPCはとても頑丈で数え切れないほど机から落としたりしたが、現役でmacos10.10を入れて動いている。OSXだとCUBASE5の相性が悪くてすぐクラッシュしてたので、Logic9に乗り換えた。Logic9は今まで使ったDAWの中で、抜群に素晴らしいDAW(とくに内蔵シンセとエフェクトが良い)で、Macでしか使えないという点を除けば完璧なDAWであった。

Logicで、最初に作った曲。ほとんどLogicの内蔵音源とエフェクトで作った記憶がある
https://soundcloud.com/karitainu/xiral-revised?in=karitainu/sets/original-song-vocal

家庭教師や参考書の校正といった大学生ならではのバイトは凄まじく時給が良くて、稼いだ金と余った時間は全てDTMに投資された。現在でも泣く子も黙るNIのKOMPLETEやOMNISPHEREといった音源、WAVESのエフェクトバンドル platinum を買ってバンバン使っていると、MBPではCPUパワー不足になり、osx86に手を出すなど頑張って都合していたのだが、徐々にしんどくなり、WindowsでスカイリムやFOというゲームにはまり、Linuxでプログラミングにハマり、徐々にOSXを起動する回数が減りDTMをすることはなくなっていった。

OSXWindowsLinuxがインストールされた自作マシン(左)

  • Logicとの別れ、StudioOneとの出会い

私にとってLogic9が最高のDAWなのだが、いまやLogic Xという新しいバージョンではUIがガレージバンドという初心者向けソフトと同じになり、再生や描画の動作もトロくなり、敬愛するBT氏もめっちゃtwitterで不満をいってCUBASEに乗り換えた。そんな折、私の敬愛するアーティスト砂原良徳氏がLogicからStudio Oneに乗り換えたという話を耳にした。砂原良徳氏(おすすめは四畳半神話大系EDやsubliminalという曲である)は私の中で現存するLogicユーザの最後の砦というイメージだったし、先述の理由から、Windowsで動くDAWを探していたので、Studio Oneに乗り換えて見ようかと思ったのだ。

Logicユーザなら簡単に乗り換えられると語る砂原氏
https://www.mi7.co.jp/story/yoshinori.sunahara.php

砂原氏の言うとおり、Studio OneはLogicユーザには大変馴染み深いのだった。機能は少ないものの、基本的なコンセプト(シングルウィンドウだったり、MIDI・オーディオエディタ・ミキサー画面のデザイン、ショートカットキー)はめちゃくちゃ近いので、未だにマニュアルを見ていないが、不自由はしていない。エフェクトのルーティングとくにサイドチェインなんかはLogicよりよっぽど直感的であった。

それに加えて、音が良いという話だが、これも同意している。技術的にも倍精度(64bit float)で内部処理している唯一のDAWとのことだし解像度の高さは明らかだろう、さらにCPUパワーの消費も大変少ない点からもジッター(音のつまり)が発生しにくい特性があると思う。DAW遍歴からくるイメージとしてはCUBASE(音が整理される感じ(分離感?)だが、芯がない)とLogic(芯がありウォームな感じだが、音がゴチャゴチャしやすい)のいいとこ取り(整理された音だが、芯がある)感じが良い。この芯がある・ないというのは難しい話で、例えば具体例を出すと「同じキックを鳴らしてもDAWによって、コンッときちんと前にでてくる音にミックスしやすいかどうかが異なる」ということである。初めてstudio oneを使ったときはマスタリング用途だけで使ったのだが、うまくもとのミックスのバランスを保ちつつ、強調したいところをブーストできる感じが好きだった。

マスタリングだけstudio oneを使った曲
https://soundcloud.com/karitainu/b?in=karitainu/sets/remixes-3392

ところで、(3年のブランクがあるので)まだStudioOneで一から曲を完成させたことはないのだが、完成した暁にはいくつかのtipsを投稿しようと思う。とりあえず昨日ようやくKOMPLETEをインストールした。

映画を見るなど

今日は頑張って新しい数学書を読む予定だったが、昼ぐらいにOblivionを初めてしまい、このまま家にいるとOblivionで一日消える気がしたので、映画を見に行くことにした。twitterを見てると複数人が映画「ベイビードライバー」をほめていたので、そいつを見ることにした。ただし、ド田舎に住んでいるので、車で一時間かけて大阪府にいくか、電車で小時間かけて京都市内までいくかということになり、映画の特性を考慮して前者を選んだ。溜まった洗濯物やら昼飯をダラダラ片付けていたら結局、上映の「10分後」というジャストな時間に座席に座ることができた。

映画自体はあっさりしたものでオシャレな演出の割にストレートな筋書きが良かった。とくに印象に残っているのは冒頭の赤いスバル インプレッサ(欧米ではWRXと呼ばれる)s204 spec Cが猛烈にかっこいいということである。僕の中ではs203の赤いspec Cが一番かっこいいと思っていたのだが、s204のロボットっぽいフロントも良いものだ。少しだけ、映画館を内包するショッピングモールを徘徊して、ヴィレバンで(恋人が飼ってる)猫のおもちゃをガチャガチャでとった。レジのお姉さんが「両替の小銭を渡してくれた後に両替機が近くにあることを教えてくれた」ので少し恥ずかしかったが、よく考えると「小銭を渡さず、両替機の場所を教えてくれる」よりもレジのお姉さん的には手間なので、もしかするとこのお姉さんは俺のことが好きなんじゃないかなと思った。

帰りはすこし寄り道をしてブックオフに寄り、ほとんど新品みたいな、つげ義春ねじ式を260円で買った。ねじ式は当時の編集者かなんかのエッセイによると、当初はシュールというよりはミステリアスな話でウロ覚えなんだが、小屋に髪が生えた豆腐が置いてあって、モーターボートに乗って主人公がそれを毎日見に来るみたいな...(全然違うかもしれない)。ついでに孤独のグルメも100円で売っていたので買おうかと思ったが、Kindleで持っていたのでやめた。中でも僕の一番好きなコンビニ回にちなんで、帰りにコンビニで晩飯でも買おうかと思ったが、昨日炊いた玄米と麦のご飯と、焼きさんまが家で待っていることを思い出して、そのまま帰った。